【武蔵野市】「ZOO IS THE PEACE―井の頭自然文化園と戦争の時代―」が7/23~8/31まで井の頭自然文化園資料館にて開催中です
8月も半ば近くなり、各地で戦争と平和についての展示が行われています。井の頭自然文化園では「ZOO IS THE PEACE―井の頭自然文化園と戦争の時代―」として、2025年7月23日から8月31日まで資料館1階にて、井の頭自然文化園と戦争の時代を写真で振り返る展示を行っています。
「ZOO IS THE PEACE」とは、「動物園は平和そのものである」との意味で、上野動物園初代園長の古賀忠道氏の言葉として知られています。井の頭自然文化園の開園は太平洋戦争開戦直後の1942年5月17日。写真展は井の頭自然文化園の通った戦後80年を辿る展示となっています。
写真展では、開園直後にはすでに外国産の大型動物やクジャクがいたことも確認できます。「相性が悪いとされる動物たちも訓練次第で雑居生活が可能であると実証した」と書かれていたというサル・イヌ・ネコの写真も印象的です。
戦時色の濃くなった時期の井の頭自然文化園についても、説明と写真が貼られています。
ゾウの「はなこ」がやってきた当時のパンフレット、もたらした新時代の喜びの様子をはさみ、北村西望氏による平和祈念像の制作についても触れられています。
また、資料館から徒歩3分ほどの彫刻館B館にて「西望アニマルズ」と題して、8月24日まで北村西望氏の動物彫刻を飼育員の解説文付きで見ることができます。さらに「どうぶつ彫刻はっけんシート」として、スタンプラリーも行われています。
北村西望氏といえば、世界的にも有名な長崎の「平和祈念像」の制作者です。資料館A館では、この長崎の平和祈念像の銅像を作るためのもとになった巨大な石膏原型が置かれています。
雄々しい像の多い北村西望氏の普段の作とは裏腹に、彫刻館B館には、にわとり、鯉の文鎮、ネコ、うさぎなどの動物の展示が多く置かれており、飼育係さんから生き物として見た彫刻の特徴が置かれているところが井の頭自然文化園らしく興味深いところです。資料館と違い、彫刻館内は写真撮影ができないことが惜しく感じられる可愛らしさですが、楽しめるスタンプラリーの台紙が彫刻館B館に設置されています。
北村西望氏は、自分の芸術を世の中に認めてもらおうとする一方で、彫刻の注文主の依頼に応じて馬に乗った軍人や加藤清正公の像の制作も行っていました。北村氏は、注文主の希望に応じつつ、そこに自分らしさを込めて、たくさんの人に愛されるよう制作を行っていたとあり、心を打たれる展示となっています。
井の頭自然文化園の大放牧場前に植えられたアカマツの幹に残っているのは「ZOO IS THE PEACE―井の頭自然文化園と戦争の時代―」内で触れられている松脂採取の痕です。戦時中には、製油が追い付かないとして、生きている木から松脂の採取が行われ、このアカマツの木も生々しい痕を残して現存しています。アカマツの木の向こうに揺れるブランコも、この80年の平和の象徴といえるかもしれません。
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